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「JSA」:真実は明るみに出る [映画]

 JSAとは、"Joint Security Area(共同警備区域)"の略で、韓国と北朝鮮の国境を指します。そこは韓国の兵士と北朝鮮の兵士が日夜顔を合わせ、時には銃撃戦も起こる、一発触発の地域です。

 映画「JSA」は日本では2001年に公開された韓国映画です。ストーリーは、JSAで北朝鮮兵士を韓国軍兵士が射殺してしまいます。しかし、その場にいたそれぞれもう一人の北朝鮮兵士と韓国軍兵士は、まったく違う供述を繰り返します。真実は何が起こったのか……。それを中立国から派遣された女性将校が解明しようとしていく話です。

 スマッシュヒットを飛ばした「シュリ」の後で、4億円という当時としては大金の制作費を費やして大きな評価を獲得し、その後に続く韓国映画隆盛の先駆けともなった作品です。

 ともあれ、事件の裏には、JSAで偶発的に出会ったことから、いつの間にか国境の小屋に隠れて友情を育んでしまっていた、韓国と北朝鮮の4人の姿がありました。
 同じ言語を話す同じ民族、地雷を踏んでしまって「助けてくれ」という、とてもとても情けない相手の姿を見て、つい助けてしまった……最初はそんなことでした。
 やがて韓国人2人と北朝鮮人2人は、小屋の中でトランプをしたり、韓国から持ち込んだ菓子を食べたり、アイドル写真を見て誰がいいかを言い争ったり、ささやかでくだらない時間を過ごします。JSAの中で。
 それだけでも、多分、明らかにすべき事実ではなかったのです。

 韓国人兵士は北朝鮮兵士に亡命を勧めます。しかし彼は「祖国を捨てられない」と拒絶します。彼らの友情は、本当に繊細で危ういバランスの上に、しかし互いを思いやる心を持って成立していたのです。
 けれど……真実はいつか明るみに出ます。秘密は、ばれます。出会ったときと同じく、偶発的な出来事によって。
 その時彼らの危ういバランスは、崩れてしまいました。最後の最後まで、「どうしてこうなってしまったのか」と嘆きながら。
 挙げ句に起こった出来事は、本当に悲惨で悲劇的でした。ゆえに残った二人は偽証をしてでも真実を隠そうとします。それでもなお……、その事実すら、明らかにされてしまうのです。

 韓国と北朝鮮は未だ交戦中の国であり、韓国人と北朝鮮人は敵同士です。それが現実です。だけど一方で、あの小屋で、たわいもないことで笑い合っていた「許されざる」彼らの姿もあるのです。どちらも真実。しかし日の光の下で、認められるのは前者の真実です。それでしかないのです。

 真実を明るみに出すことの罪を、この映画は問いかけます。現実はそうそう善悪で割り切れるものではないのだと訴えます。
  人は真実を知りたいと願う。そのためにどれほど傷ついても。……けれど、その傷の深さを本当に分かっているのでしょうか。隠すべきものも、この世にはあるのかもしれません。
 でももう一つ確かなことは、そもそも民族分断が起こっていなければ、韓国と北朝鮮が敵でなければ、この悲劇は起こらなかったという事実です。

 その真実を明るみに出したからこそ、この映画は人の心を打ったのでしょう。


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